前々から想っていたことが一つだけある。恋人である 翅音の瞳。
光に当たると、色が違うんだ・・・
虹色の瞳
彼女が在籍してるのは三番隊。そのせいか、二人でいる時間は限られてしまっている。
そして、貴重な休みの日は何処に出かけることもなくゆっくりするようにしていた。
「ん?」
薄っすらと目を開けると太陽の陽射しが差し込んでいた。
「おはよう、冬獅郎」
「もう、起きてたのか?」
「うん、お洗濯溜まってたからね」
「 翅音・・・」
「起きたら?」
「そうする」
冬獅郎と変わらない背の 翅音は、色々工夫しながら庭先に洗濯ものを干していく。
その姿を見つめながら、冬獅郎は優しく笑みを零していた。
日頃、忙しなく動き回る 翅音は休日でも休むことなく忙しなく動き回る。
「 翅音・・・」
「あ、ご飯だったら待ってね」
「あぁ」
身体を起こし、その場でぐっと背伸びした。
「そんなことしても、身長は伸びないよ〜」
「・・・一言多いんだよ!?」
「だって、私もそうだと信じて背伸びしたんだもん」
「莫迦だろ?」
「・・・・・・」
「なんで、こんな奴に・・・」
ムカっとした 翅音は持っていた枕を冬獅郎に向けて投げつけた。
「いて!」
「私は真剣だったんだからね!」
「そんなに怒る必要はねぇって・・・」
「なんで?」
「仮に俺よりも背があったら、俺はお前のこと好きになったとは想えねぇんだよな」
「・・・えっ」
枕を手にたたまれた布団の上に置き、立ち尽くす 翅音の唇にそっと口付けた。
「俺より大きくなるなよ?」
「う、うん」
嬉し恥ずかしそうに視線を外しながら外を見た 翅音の瞳がキラっと光った。
「不思議だよな」
「ん?」
「 翅音のその瞳だよ」
「私は嫌いだよ」
「なんで?」
「だって、皆と違うんだよ。光りに当たると七色になるなんて・・・」
「俺は好きなんだから、嫌いとかゆうなよ!」
「と、冬獅郎?」
「嫌いってゆう奴がいたら、俺が斬ってやるから・・・二度というなよ?」
「うん」
「よし、飯食ったら散歩でも行くか?」
「じゃあ、お弁当作ってピクニック?」
「バーカ!それじゃいつもと一緒じゃねぇか?」
「そっか・・・」
と会話を交わしたのは10分くらい前。だが、現実はそう甘くはなかった。
「 翅音・・・」
「は〜い、出掛ける準備・・・!?」
「出掛けるとこやったんか?」
開いた口が塞がらないと 翅音は指差したまま絶句。冬獅郎は深い溜息とギンの傍らに申し訳なさそうにイヅルも居た。
「す、すいません。 翅音さん・・・引き止めたんですけどね」
「で?」
「なんや、冷たいな〜。お茶の一つも出えへんのか?」
「出ません」
「「 翅音?!」」
冬獅郎とギンの驚きの声にイヅルは言葉も出なかった。両頬を膨らませ、不機嫌になっていく彼女の姿に冬獅郎はクスクス笑い出した。
「と、冬獅郎?」
「バーカ、冗談に決まってるだろ?」
「えっ?でも・・・なんで・・・」
「プレゼントや」
「三番隊から十番隊への異動届けの受理を終わらせてきたんです。出かけると聞いてたので、それまでにと・・・」
「間に合ってよかったわ〜。これで出かけられたら、明日から十番隊へ行けへんなるもんな」
「そもそも市丸隊長が悠長なことしてから、こんな先延ばしになってたんじゃないですか?!」
「イ、イヅル〜」
「それじゃ、僕たちはこれで・・・三番隊の荷物は時間のある時に取りに来て下さいね」
「は、はい」
「いきますよ、市丸隊長」
「ボクも一緒に行く〜」
「邪魔だ!」
「そないことゆわんでええやんか?」
「市丸隊長、吉良副隊長・・・ありがとうございました!」
「・・・どういたしまして!ほな、イヅル・・・散歩行くで!」
「はぁ?!何、言ってるんですか?書類が山ほど残ってるんですからね!」
玄関先まで見送った 翅音は深々と一礼した。その横顔が綺麗で冬獅郎は自分の頬が赤くなるのを感じた。
ぐっーっと背伸びした 翅音に冬獅郎は一言掛けた。
「そうやっても、背は伸びねぇんじゃなかったか?」
「莫迦!」
「準備途中だろ?さっさとしてこいよ」
「あ〜置いてかないでよ!」
バタバタと忙しない音を立てて、家中を駆け巡る 翅音。
「お待たせ、戸締り完了」
光りが当たり、 翅音の瞳は見る角度から瞳の色が変わる。見ていても飽きない、冬獅郎はその瞳に吸い込まれそうなほど好きだった。
ジッと見つめられた瞳に 翅音は恥ずかしくなったが、まっすぐ向けられた冬獅郎の視線。
「そ、そんなに見ないでよ」
「いいじゃん、減るもんじゃねぇし」
「は、恥ずかしいよ」
俯きながらも冬獅郎の隣に立つとぎゅっと手を握った。瀞霊廷内を歩きながら何も知らない人は 翅音の瞳の色を見て様々反応があった。
「ねぇ、もうちょっと人気のないところ行こうよ」
「気にするなって・・・」
「でも・・・」
「そうやって、人気のない場所ばかり行くから臆病になっちまうんだよ!」
「うっ・・・」
「慣れちまえば、気にならなくなる」
「冬獅郎」
「俺さ、七色全部見たことねぇんだよな」
「ん?」
「いつか全部の色が見れたらいいな〜って想うけどな」
「ど、どうしたの?」
「 翅音は俺の彼女だから手を出すなってこと」
「はぁ?話かみ合ってないよ!」
「だから、わざと人気のあるとこ歩いてんのはだな・・・」
「えっ?」
「解った?」
「あ、うん・・・」
その頃、乱菊たちは仲良くデートする二人の姿を発見した。
「あら、相変わらずラブラブなんだから・・・」
「乱菊さん」
「不思議よね、 翅音の瞳の色って・・・見る人によっては七色に見えるって言うんだから・・・」
「えっ?」
「見たことある? 翅音の七色・・・」
「いえ、藍色しかないです」
「私もよ・・・でもね。日番谷隊長は虹色に見えるみたいよ」
「人によってはまた別の色に見えるらしいけど、ボクは今まで3色だけやな」
「あら、見えてたの?」
「・・・乱菊」
「市丸隊長、書類終わりませんよ」
「イヅル〜」
「お邪魔しました、松本さん」
「吉良は何色に見えたの?」
「えっ・・・そう言えば、まともに見たことないです。なんせ、市丸隊長に追われてますからね」
「・・・愚問だったわね」
見える人には見える虹色の瞳。
一色だったり人によってはそれぞれ違う。
けど、冬獅郎にとっては最初から虹色に見えていた。ただ一色だけを覗いては・・・
漸く、辿りついた出かけ先は小高い山の上だった。
「ねぇ、あと一色って何色?」
「オレンジ色」
「なんで?」
「笑わないか?」
「たぶん・・・」
「黄色とオレンジの差がわからないだけだ・・・」
「プッ・・・」
「 翅音・・・笑ったな?」
「わ、笑ってないよ」
「小刻みに肩が震えてるのは何故だ?」
「・・・き、気のせいだよ!」
「 翅音・・・いつまでも笑ってられると想うなよ?」
「えっ、ちょっと〜まさか?!」
「逃げるなよ」
「逃げるわよ!!」
「逃げるな」
「こっちに来ないでよ〜」
「なんでだよ?」
「凄く嫌な予感がするもん!」
目の端に涙を溜めて必死に逃げる 翅音の姿に太陽の日差しの下、更にキラキラと虹色に輝かせていた。
綺麗な瞳の持ち主がいると聞いていた。
初めて出逢った時から、絶対にコイツしかいねぇって想ったんだ・・・
その時も泣いてたんだ・・・。
光りに当たって、キラッと光ってそれが七色の虹のように輝いて見えたから・・・
虹色の瞳の持ち主は・・・日番谷冬獅郎の彼女です。
皆さん、ご注意しましょう!!
完
5万打企画・第二位「日番谷冬獅郎」作品・著:ユリヤ FROM:Ginzya
ここから↓はHP掲載時に、削除して構いませんからね!
あとがき
第二位の日番谷も完成しましたね。二人きりの世界で書くにはまだ力不足のようです。
でも、甘い雰囲気でも出てれば幸いかなと想います。
お持ち帰り期間は7/18〜8/18までとなります。お持ち帰りの時は、一言残して頂けると喜びます!
2005/07/18
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