総隊長さんに報告した時のキミの顔はホンマ可笑しくて笑ってまう位真っ赤っかやったな・・・

そんな 翅音 ちゃんがとても愛しくて。ボクは、総隊長さんの目の前やのにキミにキスしてもうて・・・

ますます顔を真っ赤にした 翅音 ちゃんに怒られたあの日が懐かしい。

 

 

Bride elect

 

 


ボクが執務室で仕事をしていると遠くからよく見知った気配が駆けてくる。

イヅルが溜息を吐いてボクの方を見て、一言。

「今日はあまりサボらないで下さいね。市丸隊長・・・それと、イチャイチャも禁止ですよ。僕もここで仕事してるんですから」

『あァ・・・分かった。今日は一体何の用やろねぇ・・・』

ボクがそう言って扉に視線を移すと、トントンとノックをする音が聞こえる。

『・・・入り・・・』

ボクがそう短く言うと「失礼します」と声が外から聞こえて 翅音 ちゃんが入ってきた。

翅音 ちゃんが執務室の中を一通り見渡すとボクの机の前まで歩いてくる。

「ギ・・市丸隊長、少し宜しいでしょうか?」

イヅルが居る所為かたどたどしく話す 翅音 ちゃん。今、ボクの名前呼びそうになったやろ・・・クツクツ笑いながら見上げる。

『今日はどないしたん?』

「あ、あのね・・・」

嬉しそうにニッコリと笑い、 翅音 ちゃんがボクに見えるように本を開き目当てのものを指差しボクに見せる・・・

あァ、ボクとの結婚式のドレスやね・・・やっぱ女にとって一生に一度の大事なイベントなんやろうね。

ボクとの結婚式の日取りが決まってから毎日の様に 翅音 ちゃんは三番隊にやって来る。

ホンマはドレスよりも先に式場なんちゃうの?ボクは可笑しくって、でも幸せそうにしている 翅音 ちゃんを見て満足していた。

「私・・!白無垢もいいけど、ドレスが着たいの!お願い・・!」

『確かに・・・ 翅音 ちゃんにこのドレス似合いそうやなぁ・・・』

そう言ってボクは本のドレスと 翅音 ちゃんを交互に見る。ボクの頭の中で段々本に載ってるドレスを着ている 翅音 ちゃんの姿が出来上がっていく
。可愛いなぁ・・・段々と 翅音 ちゃんのペースに巻き込まれていくボク自身に最初は戸惑ったけど、幸せそうな 翅音 ちゃんの笑顔に。そして幸せな

笑顔はボクがさせてあげてるんか、そんな変な自信からか抵抗無くのめりこむ事が出来るようになってきていた。ボクはそんな 翅音 ちゃんを見てる

のが嬉しゅうて

『ていうか、 翅音 ちゃん何着ても絶対似合うと思うで?』

「え・・・そ、そんな事ないよ・・・」

そう言って頬を桜色に染める 翅音 ちゃんが可愛らしい・・・ボクが手を伸ばし自然とラブラブモードに突入するかと思ったその時、イヅルがゴホンっと

わざとらしく咳払いをした。ボクがイヅルを見ると嫌そうな顔をして席を立った。

「 翅音 さん・・・お仕事は平気なんですか?」

「う・・・すぐに帰りますから」

そう言ってイヅルに深々とお辞儀する 翅音 ちゃんにイヅルは悲しそうな顔をしてこう続ける。

「日番谷隊長が、いっつも何故かボクに愚痴を零されるんです。何故だか分かりますか?

市丸隊長に言っても全然聞こうとしないからです。」

『・・・イヅル・・・』

ボクが仲裁しようとイヅルに声を掛けたけど、今日のイヅルの怒り様ったらホンマヒステリックそのものやった・・・

ボクをギリっと睨みつけ

「ご結婚なさる事は本当に素敵な事です。こんな事言っている僕でさえ貴方達を祝福していますよ。

本当ならばもっと面と向かって祝福したい位です。ですが最近の貴方達は・・・」

そう言って一度言葉を切り深い溜息を吐いた後

「確かに死神業は休みが殆ど無いです。一生に一度の大事な結婚式の話ですもの。お話したい事だって沢山有ると思います。でも仕事をサボっ

てはいけません!僕達の仕事がどれだけ大事な事かもう一度考え直して下さい。それは市丸隊長、貴方にも同じ事が言えます!結婚式も大

事ですが、仕事も大事なんです!翅音 さんより貴方の方が年上なんですから少しはしっかりして下さい!!」

「ご、ご免なさい・・・吉良副隊長・・・」

あァ、 翅音 ちゃんが泣きそうな顔をしてイヅルを見てはるやないの。ボクの 翅音 ちゃんを泣かしたらどうなるか分かってはるやろうなぁ・・・イヅル。

「・・・心を鬼にして厳しい事を言いますが、貴方達の結婚式の日は仕事を休んで式に参加する方が沢山居るんです。僕だってこんな事言いたく

ありません!貴方達が新婚旅行に行っている間は誰が一体貴方達の仕事の穴埋めをすると思いますか?護廷十三廷全ての隊の負担が増え

るんです。せめてその日の為に少しは仕事を減らそうとか考えて下さい!」

『分かったから・・・イヅル。 翅音 ちゃん、ご免やけど今晩ゆっくり話そ?』

「は、はい・・・ごめんなさい。失礼致します」

そう言ってトボトボと 翅音 ちゃんは執務室から出て行ってしまった。

『確かにボク等は浮かれてたかも知れへんけど・・・イヅル。ボクの 翅音 ちゃんを泣かしたらボク、絶対キミの事許さへんよ?』

「だったら真面目に仕事して下さい!」

ボクが殺気を篭めて睨むとイヅルが背筋を伸ばして仕事を再開した。ボクも渋々仕事を再開する。ちょっと悔しかったからちゃんとしたるわ・・・その

時ひらひらと地獄蝶がボクの所まで飛んで来た。ボクが手を伸ばし地獄蝶を指に止めると、


〜市丸や・・・結婚式の事じゃがのぉ・・・やはり隊長の式じゃし、わしの隊で盛大に挙げた方がいいと思うんじゃがのぅ・・・勿論市丸の希望通り大

改装しても良い、じゃからもう一度考え直してくれんかのぉ・・・〜


ボソッと呟くようにボクにそれだけ伝えて地獄蝶は呑気に総隊長さんの所に戻っていった。何ともまぁ間の悪い登場やね。総隊長さん・・・イヅルがダ

ンッと大きな音を立てて席を立つ。あァ、今日のイヅルの機嫌は最悪やな・・・

「総隊長まで・・・一体何処まで平和ボケなさっているんだ!」

ほぼヒステリックな叫びの様な声にボクは思わず耳を塞いだ。

 

 

 

 

 

 


私が十番隊に戻ると乱菊さんが意外そうな顔をして私を見た。

「あら、 翅音 ちゃん・・・今日は早いのね」

「乱菊さんは聞いてないのですか・・?日番谷隊長が・・・」

私は思わず乱菊さんに縋り付こうとした時に後ろから機嫌の悪そうな声がした。

「俺が何をしたって・・?さっさと仕事しろ。 風花 ・・・」

冷たく一言そう言って日番谷隊長は執務室に戻って言った。乱菊さんは溜息を吐いて

「ああ見えても隊長も 翅音 ちゃんとギンの結婚を祝福してくれてるのよ。素気ない態度取ってるけどそれだけは分かってあげてね。何かあったら私

に相談なさい?」

そう言ってニッコリと笑い乱菊さんも執務室に戻って行った。

乱菊さんはギンの幼馴染で、昔は一緒に住んでいた事も有ったらしい。最初は二人の仲を疑って最初は随分とヤキモチを妬いたものだったが、

乱菊さんの小ざっぱりとした性格に、そして乱菊さんとの仲をギンに問い詰めたら「あないにガサツな女は嫌いや」ととっても嫌そうな顔をして否定す

るもんだから段々安心してしまった・・・

今は私のお姉さんみたいに相談も乗ってもらい頼りになる上司だ。

席に着き仕事を始めて、休憩時間になると一人さっきギンに見せた本を見ていると乱菊さんがやって来た。

「ギンは良いって言ってくれた?ドレス」

そう言ってニッコリ笑って私の前に椅子を置き座って一緒に本を覗き込む。私が頷くと

「式場はやっぱり一番隊じゃないと駄目なの?」

『総隊長さんが如何してもそこで上げて欲しいみたいやねん。ボクも 翅音 ちゃんもあない堅苦しい所嫌やねんけどね』

イキナリ詰所の入り口から独特のイントネーションが聞えてギンが姿を現す。

「ギン・・・何しに来たの?隊長に聞いたわよ」

『十番隊長さんに書類届けに来ただけや』

そう言ってギンは私の方をチラリと見てクツクツ笑う。

『さっき、総隊長さんから地獄蝶来てな。大改装したるから一番隊でしてやって・・・』

「え〜・・・」

私にそう告げると執務室のドアに手を掛ける。

『十番隊長さん、聞いてはるんやろ?お邪魔するで・・・』

そう言ってギンは執務室に入っていってしまった。乱菊さんは私にお手上げのポーズをして見せて

「現世の教会で結婚式出来なくなっちゃったわねぇ・・・」

私が溜息を吐くと、元気つけるように肩をポンポンと叩く。そして私から本を取り上げてペラペラと捲る。

あるページを出して私に指差しながら

「大改装して貰ったら?こんな風に♪これなら文句ないでしょ?」

「きゃぁ♪可愛いですね!!」

私は乱菊さんと一緒になって本を見て大騒ぎした。

 

 

 

 

 

 


十番隊執務室にもそんな 翅音 ちゃんと乱菊の賑やかな話し声が聞えていた。

十番隊長さんは溜息を吐き

「結婚式位であんだけ騒げるなんて女は不思議な生き物だな・・・」

『そうか?ボクも嬉しいで?』

ボクはそう言って十番隊長さんに書類を手渡してソファーに腰掛ける。受け取った十番隊長さんは書類に記入していきながら顔も上げずに

「俺には理解不能だ・・・まぁ、祝ってやるよ。部下の門出なんだし」

『十番隊長さんも好いとる人が出来て、愛し合うようになったら自然と分かるわ』

ボクはそう言って茶菓子に手を伸ばして口に放り込む。十番隊長さんがムッとして霊圧を上げてボクを睨みはったけどボクは敢えて無視した。

「せめて結婚式までは 風花 に真面目に仕事して欲しいもんだ」

そう言ってボクに出来上がった書類を手渡し溜息を吐く。

『あァ、せやせや。イヅルに愚痴るんやめたってな・・・此れからはボク、少しは頑張るさかいに』

そう言って踵を返して執務室から出たらすっかりテンションの上がった乱菊と、少し頬を染めて恥ずかしそうにしている 翅音 ちゃんが手を振っていた

。平和やなぁ・・・十番隊は。

「ギーーーン!こんなのに改装してって総隊長に言って♪」

「ら、乱菊さん・・・幾らなんでも此れはやり過ぎじゃ・・・」

『どんなん?』

ボクは乱菊がデザインした紙を見て思わず絶句した。な、なんやねん・・・このゴテゴテした派手派手で悪趣味な式場は・・!乱菊がボクの顔を見

て大笑いしている。

「きゃははははは!ギンのそんな顔見るの初めて!面白い〜〜〜!」

そないな事ゆわれても・・・幾らなんでも此れはちょっと、無理ちゃうか?て言うか・・・この現世の御伽噺っちゅう夢物語で出て来そうな馬車みたい

な絵、これ何に使うねん・・・こんな恥ずかしいのボク嫌や・・・

「こりゃ是非とも総隊長に伝えなきゃならないわね♪」

そう言って乱菊が取り出したのは地獄蝶・・・地獄蝶に乱菊作の式場イラストを持たせる。ア、アカン!!

『ま、待って!!乱菊。それは幾らなんでもやりすぎやわぁ・・・自分の時にそれしぃ?』

「ら、乱菊さんやっぱり私も恥ずかし過ぎますから!」

「え〜・・・つまんない」

口を尖らせてホンマ詰まらなさそうにブーブー言うボクの幼馴染・・・こういう所は昔から全然変わってへんね・・・

翅音 ちゃんがそっと本をボクに差し出す。

「わ、私これでいいですっ!」

『・・・見して・・・』

乱菊と大騒ぎしてた 翅音 ちゃんの事やから、もしかしたら過剰になってるかも知れん・・・ボクがしっかりとチェックしたらな絶対後悔するわ・・・ボクが

見た写真は、乱菊のイラストとは逆にシンプルに見えた・・・まぁ確かにあのどぎついイラストの後やったら何見てもそうなんかも知れへんけど・・・ 翅

音 ちゃんが心配そうな顔をしてボクを見上げてはる。目が合ったら

「それ位なのが神聖な感じがしていいなぁって・・・」

神聖って・・・幾ら神聖にしてもボク等所詮死神やよ・・・喉まで出そうになったツッコミを必死に留めてボクはニッコリと笑い

翅音 ちゃんの頭を撫でた。

『せやな・・・ちょっとこの本借りてええか?総隊長さんに見せに行くさかいに・・・』

コクコクと頷く 翅音 ちゃんの額に口付けたら、乱菊がこれ見よがしに叫ぶ。

「きゃぁぁぁぁ!新婚さんいらっしゃ〜〜〜〜い!」

「松本・・・五月蝿い。それと市丸・・・さっさと隊舎に戻れ。 風花 ・・・テメェは残業だ!」

「う、うわっ!ご免なさい。日番谷隊長・・・(涙)」

『十番隊長さん・・・八つ当たりは辞めてくれへん?』

どうせボクがさっきゆうた嫌味に根を持ってはるんやろ?十番隊長さんは好いてる人居るもんなぁ・・・まぁ片思いやろうけど。ボクはクツクツ笑いなが

ら十番隊長さんを見下ろす。十番隊長さんが額に青筋を立ててボクの背中を押す。

「ここは十番隊だから俺が絶対だ!!テメェはさっさと隊舎に戻りやがれ、市丸!」

『・・・図星やね』

言われんでもそろそろ戻らなイヅルが五月蝿い。ボクは瞬歩でその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 


私の要望はどうやら総隊長に伝わったらしく、一番隊はどんどん改装されていく。改装されていくと言っても正確に言えばセットが作られていくと言う

のが正しい。当の私達は普段は業務に追われてバタバタしてサボる時間も無く、仕事を終えると今度は結婚式の準備・・・兎に角多忙を極め、

毎日フラフラになりながら家路に着いていた。

そんなこんなで明日に式を控え私は今日最後の書類を日番谷隊長に提出した。

「よく頑張ったな・・・ 風花 」

そう言って目を逸らす日番谷隊長。耳が少し赤くなっているからどうやら照れているらしい。

私はチラリと乱菊さんを見やるといつもは笑い転がっている筈の乱菊さんまで優しい笑顔で

「 翅音 ちゃん・・・いよいよ明日ね。隊長も、私も式には参加するからね」

そう言ってニッコリ笑う。日番谷隊長がわざと咳払いをして

「明日は寝坊するなよ・・・お疲れ」

「・・・有り難う御座います!」

私は深々とお辞儀をして執務室を出た。

「隊長ったら・・・優しい〜っ♪」

「茶化すな。馬鹿野郎・・・」

そんな二人の会話が私には聞える筈も無く。今日は自分の部屋に帰ろうと真っ直ぐ向かっていた。

『 翅音 ちゃん♪』

そんな時後ろからギンに呼び止められた。

「ギン・・・もう仕事終わったの?」

『うん。今日は一緒に寝よ・・v』

そう言って私の手を取って、ギンの家に向かって歩こうとする

「ギン。今日は自分の部屋で寝るから・・・明日式場で会いましょう?」

『え〜・・・最近ご無沙汰やん・・・それに、結婚式前夜やで?』

クツクツと笑うギンに私は溜息を吐いて

「結婚式前夜だから敢えて別に過ごすの!あと一日待って!明日10時までに一番隊に来てよね!」

『明日やったらええねんね・・?でもボクは今日がええねんけど・・・』

「それじゃおやすみ!!」

ギンの言葉を遮って持てる力全てを出し切って駆け出す私に、ギンはもう声を掛けようとしなかった。

明日ギンと結婚式・・・部屋に戻って私はギンに思いを馳せる。こんな風に静かに一人で過ごすのも今日で最後で。

偶にはこうやって静かに思いを馳せながら過ごすのもいいと思った・・・最後の夜は・・・瞬く間に過ぎていった。

 

 


 

 


あとがき

いつも御清聴頂き有り難う御座います。

な、何だか長くなってしまった・・・完結させるつもりが・・・う、うわ〜〜!!

Bride elect=花嫁として選ばれた人  ギン夢BDフリー配布夢の続きです。

辰水様にBD夢の続きを頂いたので夢返しをと思い執筆しました・・・ですがもう一作続きそうですね。

何故短編に有るのか!?単純な話リクは無かったからです(笑)何がしたいんでしょうね。私・・・

はい、ご免なさい・・・(笑)こんなのでも良ければ辰水様のみお持ち帰り下さいませ。そしてギンBDフリー夢お持ち帰り頂いた方の中で欲しいです

という方は拍手コメントかBBSにでも書いてやって下さい。きっと喜んでのし付けて差し上げますと思います(笑)それでは後一話お付き合い下さ

いませv           05/10/7

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